情報通信研究機構などは、2日、心臓外科手術の様子をインターネットを使って3D(立体)映像として、
遠隔地で中継して見る実証実験に成功したと発表した。立体映像にすることで、従来の2次元画像だと
見えにくかった臓器の深部の様子も確認できたという。
実証実験には、IT(情報技術)機器メーカーのFAシステムエンジニアリング(松山市、中村康則社長)、
NHKメディアテクノロジー(東京・渋谷、西山博一社長)も参加した。
神奈川県大和市にある大和成和病院で実施した心臓外科手術の様子を3D用ハイビジョンカメラで撮影、
人工衛星「きずな」によるインターネット回線を使って神戸国際展示場で開催していた学会の会場まで伝送
した。会場には3D用テレビモニター10台を設置、約300人の医療関係者が専用のメガネをかけて約8時間の
手術の様子を見た。映像は毎秒30メガビットで伝送し、ほぼリアルタイムで配信できた。
今回実施した心臓弁を交換する手術の場合、2次元画像では執刀医以外は深部の弁の様子を見分けられ
なかったが、立体映像化することで会場でも弁の状態を確認できた。
「きずな」を使うことで有線回線が届いていない地方や山間部の病院でも、最先端の手術を学ぶことができる
という。
(2010年2月3日(水) 日経産業新聞)